【ブックハンティング】地球儀を俯瞰する地政学

北岡伸一『世界地図を読み直す 協力と均衡の地政学』(新潮選書)

 

 近年、「地政学」に改めて注目が集まっている。中国の南シナ海への進出から「一帯一路」構想に至るグローバルな影響圏の拡大は、冷戦時代に恐れられた共産圏の拡大に重ねるイメージで捉えられ、東南アジアや中央アジアだけでなく、アフリカやラテンアメリカへの進出も視野に入れているのではないかとの懸念もある。

 そんな中で、副題に「協力と均衡の地政学」と入れられた、北岡伸一の『世界地図を読み直す』(新潮選書)が刊行された。本書はJICA(国際協力機構)理事長として世界中を飛び回る北岡がフォーサイトに寄稿した連載記事のまとめではあるが、極めてユニークで特徴的な著作としてまとまっており、一貫性のある視座と価値観に貫かれている。

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執筆者プロフィール
鈴木一人(すずきかずと) すずき・かずと 東京大学公共政策大学院教授 国際文化会館「地経学研究所(IOG)」所長。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授、北海道大学公共政策大学院教授を経て、2020年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、編・共著に『米中の経済安全保障戦略』『バイデンのアメリカ』『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』『ウクライナ戦争と米中対立』など多数。
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