「欧州統合」「中絶合法化」に力を注いだ「ジスカールデスタン元仏大統領」が生きた時代

執筆者:軍司泰史 2020年12月28日
タグ: フランス
エリア: ヨーロッパ
フランス議会で人工妊娠中絶を合法化した後、シモーヌ・ベイユ保健相と会談する在りし日のジスカールデスタン大統領 (C)AFP=時事

 

 フランスのバレリー・ジスカールデスタン元大統領が12月2日、新型コロナウイルスの感染が原因で死去した。94歳だった。

 48歳の若さで大統領に就任し、在任期間は1974~81年。今から40年以上も前だ。筆者もリアルタイムで彼の時代をウォッチしたことはない。

 1990年代にパリで特派員をしていたとき、ジスカールデスタンは既に大統領府を去り、単に中道政党の党首だった。その後、欧州連合(EU)の基本条約「欧州憲法」を起草する責任者となったが、2005年にその批准を母国フランスに国民投票で否決され、発効は頓挫する。歴代フランス大統領の人気投票では、上位に顔を出すのはまれだった。つまり、どちらかというと印象の薄い指導者だった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
軍司泰史(ぐんじやすし) 1961年生まれ。1984年共同通信入社。1993~94年テヘラン、1995~99年、2008~12年パリ支局などを経て、共同通信編集・論説委員。2019年4月から青山学院大学非常勤講師。著書に『シラクのフランス』(岩波新書)、『スノーデンが語る「共謀罪」後の日本 大量監視社会に抗するために』(岩波ブックレット)、編著に『伝える訴える 「表現の自由」は今』(拓殖書房新社)、共訳書にイアン・ブルマ『廃墟の零年 1945』(白水社)がある。
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