裂けた明日
裂けた明日 (11)

連載小説:裂けた明日 第11回

執筆者:佐々木譲 2021年7月10日
タグ: 日本
エリア: その他
写真提供:時事
内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

情報は分断され、状況は刻々と変わっていた。信也は現地の情報を精査しながら行く手に思いを巡らせる。

[承前]

 ふたりの背を見送ってから、吉澤が訊いてきた。

「あっちのほう、いまの様子はどうなんだ?」

 戦況を訊かれたのだろう。

「しばらく落ち着いていましたよ。でも、昨日、会津のほうで砲撃か空爆の音がした。戦闘が始まったようです」

「二本松では、何かあったのか?」

「戦闘は起こっていませんが、福島市では反政府活動家の摘発が始まっています」

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
佐々木譲 [ささき・じょう] 1950(昭和25)年、北海道生れ。1979年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。1990(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞。2010年、『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。著書に『ベルリン飛行指令』『天下城』『笑う警官』『警官の血』『地層捜査』『沈黙法廷』『抵抗都市』『図書館の子』『降るがいい』『雪に撃つ』『帝国の弔砲』などがある。
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