裂けた明日
裂けた明日 (40)

連載小説:裂けた明日 第40回

執筆者:佐々木譲 2022年2月5日
タグ: 日本
エリア: その他
写真提供:時事通信フォト
内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

大学の同級生の久保と再会した信也。昼食の店に向かう途中、三杉の遺体が発見されたという情報が入る。

[承前]

   靖国通りを歩きだしたとき、後ろでサイレンのような音が鳴り始めた。信也たちは足を止めて振り返った。音は近づいてくる。自動車の警報器なのかもしれないが、警察車両のものではなかった。靖国通りを走行中の自動車がみな徐行し始めた。

 見ていると、元防衛省の正門のほうから軍用車が列を作って靖国通りを走ってきた。先頭は迷彩塗装の軽装甲車だった。その装甲車が、サイレンを鳴らしているのだ。後ろにやはり迷彩塗装のトラックの隊列が続いていた。オーストラリア軍の輸送車だった。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
佐々木譲 [ささき・じょう] 1950(昭和25)年、北海道生れ。1979年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。1990(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞。2010年、『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。著書に『ベルリン飛行指令』『天下城』『笑う警官』『警官の血』『地層捜査』『沈黙法廷』『抵抗都市』『図書館の子』『降るがいい』『雪に撃つ』『帝国の弔砲』などがある。
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