
写真提供:時事
作業現場で知り合った男の死を知り、信也と真智は愕然とする。行き場を失った三人は、頼る者のいない新天地での生活を憂う。
[承前]
この日は、時間をかけて夕食を終えた。
三人とも、食堂のカウンターで選んで載せた器の中身を、きれいに食べたのだ。プラスチックの器が使われていたけれども、少なくとも一応は料理ごとに器を変えた夕食だった。明日、朝食を終えた後は、しばらくはもうこのような食事はできなくなると予想できた。またカップ麺か、ファーストフード店での食事が続くことになるのだ。それを信也は口にしたわけではなかったけれど、真智も由奈も同じことを予想しての食事となったのは確実だ。由奈も、ゲートでの村井と信也とのやりとりを聞いて、自分たちの置かれた状況は理解しているはずだった。

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