女性の解放者としての米国?――アフガニスタン戦争の欺瞞

2001年、米連邦議会でブルカを着用して演説する、民主党のキャロライン・マロニー下院議員(『C-SPAN』HPより)
アフガニスタン空爆が開始された翌月の2001年11月、大統領夫人(当時)ローラ・ブッシュは「テロとの戦いは、女性の権利と尊厳のための戦いでもある」とラジオ演説を行った。だがこの戦争は、少なくとも4万7245人のアフガン市民の命を奪い、人々の生活基盤を破壊した。家父長制が根強いアフガン社会では、男性親族を失った女性の人生は苦難に満ちた。「女性解放の戦い」と正当化されたアフガニスタン戦争の欺瞞と陥穽。

 ジョー・バイデン米政権が、ドナルド・トランプ前政権がタリバンとの間で結んだ合意に基づき、アフガニスタンから駐留米軍の完全撤退を進めていた8月15日、首都カブールはあっけなくタリバンに制圧された。

 翌日行われた国民向けの演説でバイデンは、改めて米軍撤退の判断の正しさを強調し、次のように述べた。“米国は20年前、「明確な目標」をもってアフガニスタンに向かった。その目標とは、2001年に同時多発テロ事件を起こしたテロ組織「アルカイダ」が再び米国本土を攻撃しないようにすること、アフガニスタンがそのようなテロ攻撃の拠点とならないようにすることであった。そしてこれらの目的は達成された”と。

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カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
三牧聖子 高崎経済大学経済学部国際学科准教授。国際関係論、外交史、平和研究、アメリカ研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教等を経て2017年より現職。2019年より『朝日新聞』論壇委員も務める。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年、アメリカ学会清水博賞)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。
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