フィンランドとスウェーデンをNATO加盟に向かわせた危機――ロシアの「オウンゴール」を検証する

執筆者:鶴岡路人 2022年5月2日
エリア: ヨーロッパ
ストックホルムを訪れたフィンランドのマリン首相(右)を迎える、スウェーデンのアンデジャン首相(左)。NATO加盟申請へ一歩前進 (C)EPA=時事
フィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請が5月半ばにも行われる見通しだ。NATO との関係を着実に深めて来た両国が、動きを一気に加速する背景には、ロシアによるウクライナ侵略とともに、1975年に東西両ブロックの間で合意された「ヘルシンキ最終議定書」の「同盟選択権」をロシアが否定しようとした事実がある。まさにいま、第二次世界大戦後の欧州国際秩序に大転換が起きようとしている。

 フィンランドとスウェーデンといえば、北欧の中立国として知られる。より正確にいえば、NATO(北大西洋条約機構)に加盟しないという意味での「軍事的非同盟」である。いずれにしても重要なのは、第二次世界大戦終結、そしてNATO創設から70年以上にわたってNATO非加盟を貫いてきたことであり、結果として北欧にはNATO非加盟地帯が存在し、それは欧州秩序の特徴の一つでもあった。それがいま変わろうとしている。フィンランドとスウェーデンのNATO加盟が近づいているのである。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
鶴岡路人 慶應義塾大学総合政策学部准教授。1975年東京生まれ。専門は現代欧州政治、国際安全保障など。慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院法学研究科、米ジョージタウン大学を経て、英ロンドン大学キングス・カレッジで博士号取得(PhD in War Studies)。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)、米ジャーマン・マーシャル基金(GMF)研究員、防衛省防衛研究所主任研究官、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛・安全保障研究所(RUSI)訪問研究員などを歴任。東京財団政策研究所主任研究員を兼務。著書に『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)など。
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