医療崩壊 (62)

大型連休後のコロナ感染が増える理由を、曲解する「思いつき」議論の罪深さ

執筆者:上昌広 2022年5月4日
“vaxxed and done”が対策のカギだ(大型連休中、入場制限なしで開催されたプロ野球・巨人-阪神戦=5月1日、東京ドーム)  (C)時事
ゴールデンウイーク後の感染者数は、ほぼ確実に増加する。ただし、その原因は新型コロナ対策分科会が主張するような「人出増」ではないはずだ。もはや世界の公知といえる流行の「季節性」を考慮せず、無意味な自粛を強制しながら欧米の揚げ足をとってみせる専門家とマスコミは、行動規制で蝕まれていく国民の健康を無視している。

   4月10日、米ABCの番組“This Week”に出演した米政権医療顧問トップのアンソニー・ファウチ国立アレルギー感染症研究所長は、「新型コロナウイルスは根絶できるものではない」、「各人が自分がどの程度のリスクを負うか考えて行動すべきだ」と発言した。このことは全米のメディアで大きく報じられ、米国で新型コロナウイルス(以下、コロナ)感染症対策の潮目が変わったことを印象づけた。

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
カテゴリ: 医療・サイエンス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top