北朝鮮が「わかりやすい宣伝扇動」で強化に乗り出す若年層の「集団主義」

執筆者:塚本壮一 2022年5月14日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
6年ぶりという新作芸術映画『一昼夜』のタイトル画面(『朝鮮中央テレビ』より、以下同)
『トップガン』ばりのミサイル発射動画や6年ぶりの劇映画新作公開など、金正恩党総書記が映像メディアを駆使した宣伝扇動を繰り広げる。「共感」で道徳や集団主義を刷り込む背景には、特に若い世代で社会主義への懐疑が広まっていることがあると見られる。

 北朝鮮の国営テレビで放送される映像が、最近、やたらと凝っていると話題になっている。また、6年ぶりという新作劇映画が製作されて平壌で試写会が開かれ、全国で上映されると報じられた。北朝鮮においてテレビや映画は国民を統制する有力な手段である。新たな動きは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の指導によるものであるのは間違いない。その狙いはどこにあるのだろうか。

「テレビ部門で成果」と称賛

 2022年3月24日、北朝鮮は新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)とする「火星17」を発射し[1]、翌日、『朝鮮中央テレビ』がその模様を約12分の動画にまとめて放送した。

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執筆者プロフィール
塚本壮一(つかもとそういち) 桜美林大学教授。1965年京都府生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業後、NHKに入局。報道局国際部の記者・副部長として朝鮮半島の取材・デスク業務に携わり、2002年の小泉首相訪朝など北朝鮮・平壌取材にもあたった。2004年から2008年まで北京に駐在し、北朝鮮の核問題をめぐる六者会合や日朝協議で北朝鮮代表団の取材を担当。2012年から2015年まではソウル支局長として、李明博・朴槿恵両政権下で悪化した日韓関係や、旅客船セウォル号事故などを取材した。ニュース「おはよう日本」の編集責任者、解説委員を務め、2019年に退局後、現職。
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