ロシア対NATOの最前線「スヴァウキ・ギャップ」の戦略的価値――同盟の信頼性と「導火線」

執筆者:後瀉桂太郎 2022年5月17日
タグ: NATO ロシア
エリア: ヨーロッパ
スヴァウキ・ギャップに立つポーランドの国境標識。「横断禁止」と書かれているが… ©AFP=時事
冷戦終結以来、最もリアルに「ロシアとの戦争」の可能性を突きつけられているNATO(北大西洋条約機構)諸国。その最前線に立つのが、旧ソ連からの独立後も国内に多くのロシア系住民を抱えるバルト三国である。軍事的には極めて脆弱なバルト諸国の国境線だが、それゆえに同盟の信頼性を維持するため種々の手段が講じられている。

 

 ロシアのウクライナ侵略(以後「ウクライナ戦争」という)はロシアの思惑とは裏腹に長期化しつつあり、ウクライナの被害は刻々と拡大している。2008年のジョージア紛争、2014年のクリミア半島併合とこれに続くウクライナ東部ドンバス地方への介入など、21世紀のロシアはかつての帝政ロシア、あるいはソ連時代の版図を回復しようというあからさまな領土的野心に基づいて行動してきた。

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カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
後瀉桂太郎(うしろがたけいたろう) 海上自衛隊幹部学校 主任研究開発官 1等海佐。 練習艦隊司令部、護衛艦みねゆき航海長、護衛艦あたご航海長、海上自衛隊幹部学校研究部員、防衛省海上幕僚監部防衛課勤務(内閣府 総合海洋政策推進事務局出向)などを経て2020年5月より現職。 1997年防衛大学校国際関係学科卒業、2017年政策研究大学院大学 安全保障・国際問題プログラム博士課程修了、博士(国際関係論)。2018年オーストラリア海軍シーパワーセンター/ニューサウスウェールズ大学キャンベラ校客員研究員。著書に『海洋戦略論 大国は海でどのように戦うのか』(勁草書房、2019年)がある。
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