
バージニア州シャーロッツビルで公園から撤去された南軍のロバート・E・リー将軍の銅像(2021年7月10日) (C)AFP=時事
「トランプなきトランピズム」の模索
そうしたことがあって、新たな保守主義の形成に向け決然として模索が始まった。それは「トランプなきトランピズム」とでも呼ぶべきものである。少し前まで、レーガン時代やその残照を浴びた保守派の代表的な思想家たちは、自分たちの哲学を当然のごとく、小さな政府、減税、自由貿易、起業家精神と結びつけていた。しかし、現時点では、右派内部からこれらの原則を時代遅れで非保守的なドグマだとして批判するポピュリスト・ナショナリストが増えている。レーガン型ポピュリズムのような政府の役割を否定するレトリックを捨て、自分たちの政策実現のために政府権力を臆面もなく、精力的に行使することを訴えているのである。こうした右派造反者の中には、グローバリズムと国境を超えた進歩的エリートを敵視し、国内の経済的・社会的崩壊に当惑し、旧世界である欧州のナショナリストや社会保守主義者に啓発や知的支柱を求めている者もいる。

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