
前回は毎月分配型投資信託の人気が復活していること、日本で人気化する毎月分配型投資信託は、話題になっているテーマに関連した投資対象を探す「テーマ型投資信託」であるケースが多く、その後大きな下落を繰り返してきたことをお伝えした。そして、現在人気のテーマ型投信は「米国IT株式」だ。
米国株式並びに米国IT株式に引き続き投資し続けて良いのか。米国債券とも比較しながら解説したい。
「マグニフィセント7」を除く米国株はどれだけ上昇したか
リーマンショックの株価が底打ちをした2009年2月末以降、米国株式は驚異的な上昇を続けてきた。2009年2月末から2025年2月末までの期間に株価は実に8倍になった。米国の主要500社の株価指数であるS&P500に連動する投資信託を購入しておけば良いという流れも個人投資家に広まった。
図1は個人投資家に人気の「S&P500」と「オルカン」の説明図だ。詳しくは、以前本コーナーで書いた〈「オルカンか、S&P500か」論に死角はないか〉をご参照いただきたい。
S&P500は米国の主要500社に投資しているとはいえ、時価総額加重平均のため、マグニフィセント7のウェイトが30%を超え米国IT企業の株式の影響度が大きい。
図2は2023年~2024年の株価(ドルベース)の推移だ。黄緑色のS&P500は約60%上昇したが、マグニフィセント7はなんと約245%の上昇だ。一方でS&P500からマグニフィセント7を除外した493社の値動き(いわば「S&P493」)で見ると、上昇は35%に留まる。つまり、マグニフィセント7のたった7社がS&P500のリターンの半分以上の影響を与えていることになる。
もちろん、実際には米国の有力IT企業はこの7社にとどまらないので、残り493社の上昇にもIT企業がかなり寄与している。これを考えると、いかに現在の米国株がIT企業の株価の影響を受けているかが分かる。これらの「上昇しすぎた」IT株式が一斉に下落に転じたらS&P500にも大きな影響を与えることは容易に想像がつく。
「割高」な指標が目立つ米国株式

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