煽りません! プロ直筆、一生モノの資産運用「いまやっていいこと、悪いこと」 (14)

「オルカンか、S&P500か」論に死角はないか

執筆者:福田猛 2024年4月10日
タグ: マネー 日本
(C)gugu/stock.adobe.com
新NISAが始まって以降、「オルカン」「S&P500」は流行語大賞を取る勢いが続いている。投資信託への資金流入のトップを二つが争い、どちらを選ぶべきかで話題が沸騰しているのだ。だが、これらの議論に死角はないのか。「オルカン」「S&P500」の特徴や注意点を検証したい。

 2024年から新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、ものすごい勢いで個人マネーが現預金から投資に回っている。投資信託への資金流入は1月が1兆2798億円(確報値)、2月も1兆4000億円弱(QUICK資産運用研究所推計)に上っている。

 中でも「オルカン(全世界株式)」と「S&P500」への資金流入が際立っている1。1 月の投資信託の資金流入1位はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)で3428億円、2位のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)にも2078億円もの資金が流入した。

「オルカンか、S&P500か」というのは、もう日常的にやり取りされる言葉だ。だが、話題先行で少し議論が上滑りしているかもしれない。そもそもオルカンやS&P500はどのような特徴があるのか、また死角はないのか考えてみたい。

オルカンとS&P500の特徴とは

 まず、基本的なところから(図1)。

【図1】出所:筆者作成

 オルカンとは「オール・カントリー」の略で、日本や新興国も含めた全世界の企業を投資対象にしている。一方、S&P500は米国の主要企業500社を対象にしている。

 米国企業は何十年にもわたり長期的に大きく成長し株価も上昇したため、全世界株式に投資するより米国株式へ集中投資を行った方が過去のリターンは高かった。引き続き米国企業の成長に期待したい人はS&P500への投資が考えられる。一方で、過去が未来を常に反映する訳ではないので全世界に分散投資を行った方が良いとも考えられる。その場合はオルカンの方が良い。

 S&P500とオルカンのいずれも、長期投資するのであれば王道的なスタイルといえる。特にNISAで長期積立投資するには有効な投資だ。

それでは、注意点は?

 しかし、注意点もある。

 まずS&P500についてだ。……

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
福田猛(ふくだたけし) ファイナンシャルスタンダード株式会社代表取締役。同志社大学卒業後、大手証券会社を経て、2012年ファイナンシャルスタンダード設立。著書に『この世でいちばん臆病な投資生活』(サンマーク出版)、『お金の不安から一生自由になれる 考えない投資生』(飛鳥新社)、『プロがこっそり教える資産運用のはじめかた』(毎日新聞出版)などがある。2020年、一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会理事就任。ファイナンシャルスタンダード公式サイト https://fstandard.co.jp/
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top