世界のエネルギー情勢を揺さぶる「米国の賭け」
戦後のイラク原油を支配するのは、あくまでも“戦勝国”の米英だろう。だが、石油価格の下落と湾岸産油国の政情不安定化をともなう「力の政策」はハイリスク・ハイリターンの賭けとなり、原油市況の乱高下が避けられない。 二度の世界大戦はもちろん、ベトナム戦争や湾岸戦争もひとつの体制の終わりであり、新しい枠組みの始まりだった。終わったばかりのイラク戦争もフセイン政権という体制に終止符を打った。だが、これから中東で、産油国で、エネルギー市場で、何が始まるのか新しい枠組みはまったく見えて来ない。今後エネルギーの世界で展開するシナリオの幅は極端なほどに広く、不透明だ。

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