間寛平とインテリジェンス

執筆者:春名幹男 2011年2月5日

 このほど「アースマラソン」で見事地球一周を完遂したタレントの間寛平さん。途中、前立腺がんの治療を受け、話題になったが、インテリジェンス的にも非常に有意義な挑戦だった。 イランからトルクメニスタンに出た際、1キロほどの「中立地帯」を通過して、厳しい監視を受けた。さらに、カザフスタンを走行中、隣国キルギスに「不法入国」してしまい一時拘束された。そこから中国に入った、というのだ。ランナーだったからこそ、貴重な発見があったに違いない。松尾芭蕉の「奥の細道」だけではない。少佐の時、単騎シベリア横断して現地調査した情報将校、福島安正、ベルリン五輪の際の聖火リレーで沿道の情報を集めたナチス・ドイツなど多々ある。寛平さんの挑戦をインテリジェンスで活用する、なんて誰も考えなかったのかな。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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