オバマ政権下で大幅に増加する特殊部隊

執筆者:春名幹男 2011年5月20日
カテゴリ: 軍事・防衛
エリア: 北米

 オサマ・ビン・ラディン殺害で活躍した米海軍特殊部隊SEALs。この部隊だけでなく、陸軍の特殊部隊なども含めて、オバマ政権下で特殊部隊の工作が大幅に増強されていることが議会証言で確認された。このほど、特殊工作司令部(SOCOM)のエリック・オルソン司令官(海軍大将)が下院軍事委員会で証言した。
 それによると、昨年の時点で特殊部隊員が配備されているのは世界75カ国、計1万2,000人に上る。ブッシュ政権時代には60カ国だったから配備国は25%も増加したことになる。特殊部隊員の兵員総数はこのところ毎年3~5%増加しており、全部で6万人近くに上っている。予算額は、2001会計年度の21億ドルから、10年後の2011会計年度は98億ドルに4.7倍増を記録した。テロだけでなく広範な目的で作戦を展開しているという。オバマ大統領がインテリジェンスと特殊工作を重視していることが次第に明確になってきた。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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