国際テロ組織アル・カエダ系のイスラム武装勢力「アラビア半島のアル・カエダ」(AQAP)幹部、アンワル・アウラキ師の殺害に使われた米中央情報局(CIA)の無人偵察機。各種報道では、アウラキ師が仲間4人と北部ジャウフ州を車両で移動中、攻撃を受けた、という程度しか分からない。
実は、一番重要な情報は、この無人偵察機がどの基地から飛来してきたか、だ。
オバマ政権はヘルファイアー空対地ミサイルを搭載した無人偵察機を対テロ戦争の主要な武器として使用している。これまで、アフガニスタン、イラク、リビア、パキスタン、ソマリア、そして今度のイエメンと計6カ国での使用が確認されている。
そして、無人偵察機は、上記6カ国に加えて、その周辺ないしは飛行距離内の友好国に置いた秘密基地から出撃しているのだ。イエメンには、イエメン国内の基地のほか、ジブチ、さらに国籍不明の「アラビア半島の別の基地」からも出撃しているようだ。最近、判明した新たな基地は東アフリカ沖、マダガスカルの北方にあるセーシェルだ。さらに、セーシェルおよびジブチから出撃するのはソマリアのアル・カエダ系組織アル・シャバーブの拠点やアジトなどだ。
さらに、エチオピアにも別の基地を建設中、それに加えてトルコとも交渉中だというのだ。
南西アジアから中東にかけて網の目のように張りめぐらされつつある無人偵察機、プレデターとリーパーの基地網。セーシェルの空港近くにある基地には3、4機のリーパーと100人程度の米軍人が配置されているという。見えないテロ戦争がますます見えにくくなっている。
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