富士山(富士山と信仰・芸術の関連遺跡群)が、ユネスコの世界遺産に登録される運びとなった。
自然遺産ではなく文化遺産としての登録とは、うまい手を考えたものだ。たしかに、日本人にとって富士山は特別な存在だった。古い時代から、愛されてきたし、大自然を神と崇める多神教的な発想の象徴的な存在が富士山だった。
最古の登山者は「役小角」
富士山が現在のような形状になったのは縄文時代のことで、縄文人は、畏敬の念を抱いて見上げていたようだ。富士山本宮浅間大社のある静岡県富士宮市の台地に、縄文中期の環状列石が見つかっていて(千居=せんご=遺跡)、中央部に富士山をかたどった石が祀られている。他にも、山梨県都留市の牛石遺跡など、富士山周辺には複数の縄文遺跡が存在し、富士山を意識していたことが、遺物から読み取れる。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン