アベノミクスでも富裕層の“海外逃避”が止まらない

執筆者:磯山友幸 2013年6月14日
エリア: アジア
 アベノミクスの「第3の矢」も発表したが、富裕層の繋ぎ止め策も急務 (C)時事
アベノミクスの「第3の矢」も発表したが、富裕層の繋ぎ止め策も急務 (C)時事

 NHKが6月1日、タックスヘイブン(租税回避地)に財産を持つ日本人のリストを、日本の国税庁がオーストラリアの税務当局から大量に入手したと報じた。報道によると、カリブ海のケイマン諸島などにある信託財産やペーパーカンパニーの所有者リストで、資料を入手したオーストラリアの税務当局から日本に関係するとみられる部分だけ、提供を受けたという。

 ニュースでは「シンガポールのほか、ケイマン諸島や英領バージン諸島、南太平洋のクック諸島に財産や会社を持っている日本人の氏名や住所が確認できた」とし、資料は大量にあり、脱税が疑われるケースなどがないか今後調査するという国税庁の方針を伝えていた。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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