大苦境を装う消費者金融の「灰色の未来図」

執筆者:鷲尾香一 2006年6月号
タグ: 日銀 日本

グレーゾーン金利の廃止を正しく金融の健全化にむすびつけるためには、何が必要とされているのか。「貸付金利の上限が二〇%になれば、生き残ることができるのは大手十社程度ではないか」 大手消費者金融の役員はそう語った。過剰な融資や高金利、苛酷な取り立てを批判されながらしぶとく生き残ってきたこの業界に今、「グレーゾーン金利の撤廃」という、これまでにない大波が襲いかかっている。「グレーゾーン」とは、出資法(消費者金融の貸付金利を規制)が定めている上限金利「二九・二%」と、利息制限法(銀行など金融機関の貸付を規制)の上限金利「二〇%」の間を指す。後述するように、消費者金融の商売を支えてきたのが、このグレーゾーン金利だった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
鷲尾香一(わしおこういち) 金融ジャーナリスト。本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。
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