米無人偵察機、知財訴訟で飛行停止の恐れ

執筆者:春名幹男 2010年10月17日
タグ: CIA タリバン
エリア: 北米

 米中央情報局(CIA)が国際テロ組織アル・カエダやタリバンに対する偵察と爆撃に使用している無人機プレデターが、裁判所から飛行停止処分を命じられる可能性があることが分かった。
 プレデターに誘導ソフトを提供しているボストンのインテリジェント・インテグレーション・システムズ社(IISi)と別のソフト企業ネテッザ社の間の知的財産権をめぐる訴訟で、IISi社がマサチューセッツ州の裁判所にソフト使用の仮処分を申請、裁判所の決定が12月7日に出るためだ。
 CIAは今夏以降、パキスタンの連邦部族直轄地域(FATA)にあるアル・カエダやタリバンのアジトに対する、プレデターを使った攻撃回数を増やしている、と伝えられている。米メディア報道によると、CIAはプレデターの増産を発注したもようで、増産計画をめぐる企業間の対立や、搭載するソフトの使用をめぐり知的財産権紛争が表面化した。アフガニスタン情勢は緊迫しており、オバマ政権としてはプレデターが飛行停止になれば、アフガン戦略に極めて重大な影響を及ぼすとみられる。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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