国際人のための日本古代史
国際人のための日本古代史 (78)

「キトラ」「高松塚」古墳に付きまとう「悲劇の匂い」

執筆者:関裕二 2016年9月6日
タグ: 中国 日本
エリア: アジア
キトラ古墳の石室内の天井に描かれていた天文図[文化庁提供](C)時事

 9月24日、奈良県明日香村に「キトラ古墳壁画体験館 四神の館(しじんのやかた)」がオープンする。「四神」とは東西南北を表す4つの神獣(青龍、白虎、朱雀、玄武)のことで、キトラ古墳の石室にはそれぞれの方向の壁にこれらの絵が描かれている。そして、このうち修理を終えた極彩色の白虎と朱雀、そして金箔と朱を使い天井に描かれていた天文図の3面が展示されるのだ。この中で注目すべきは、天文図だ。現存世界最古で、石室の天井に描くのは、日本だけの発想だ。そして、星座の配置を調べれば、どこから天文図の知識がもたらされたか、その流れがわかるはずだ。
 天文図の28宿の星座(宿は星座の数え方)が4つの円に囲まれている。その円の中の3つは同心円で、ひとつだけ、中心がずれている。
 これらの円には、しっかりとした意味が隠されている。まず、小さなものから順番に説明していこう。
「内規」……北極星に近く、1年を通して地平線に沈まない星座。人間界で言えば、皇帝の住む宮にあたる。「赤道」……北極星の近くの天の北極から90度下ろした位置を示す。「外規」……観測できる範囲の星座で、観測地点によって異なってくる。そして残った中心がずれている円は「黄道」で、これが太陽の1年の軌道を描いたものなのだ。
 この天文図、日本で独自に作られたわけではない。高句麗の平壌付近か中国の長安(現在の西安)で観測されたデータが元になっていると考えられている。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『聖徳太子は蘇我入鹿である』(ワニ文庫)、『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』(以上、新潮文庫)、『伊勢神宮の暗号』(講談社)、『天皇名の暗号』(芸文社)、『「死の国」熊野と巡礼の道: 古代史謎解き紀行』 (新潮文庫)など多数。最新刊に『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』(新潮新書)、『古代日本人と朝鮮半島』(PHP文庫)、『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪: 古代史謎解き紀行』(新潮文庫)がある。
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