新・マネーの魔術史:未来篇 (32)

日銀「国債購入増」で「マネー増」でもインフレにはならない

執筆者:野口悠紀雄 2020年4月30日
エリア: アジア
リブラ公式HPより

 

「新型コロナウイルス」対策のために財政支出が急増し、これから日銀による購入が行われるだろう。これによってマネーが増えるが、インフレが引き起こされることはないだろう。

「コロナ後」も日銀が国債を購入し続ける可能性が高いが、これもインフレにはつながらないだろう。

 仮に金融危機が起こると深刻な問題が生じるが、そうした事態にはならないことを祈りたい。 

日銀が国債購入を無制限化

 補正予算で国債発行が激増する。当初予算と合わせた今年度の国債の新規発行額は、過去最大の58兆2000億円に達し、歳入の45.4%を国債に頼ることになった。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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