国際人のための日本古代史 (127)

1000年を経てようやく明らかになる悲劇の「為政者」たちの功績

執筆者:関裕二 2020年9月11日
タグ: 日本 安倍晋三
エリア: アジア
高市皇子が造営にいそしんだ「新益京」(藤原宮)(筆者撮影)
 

   古代にも、惜しまれて政界を去って行った為政者は大勢いた。ただし、「できる」からこそ暗殺され、排除されることがしばしばだった。業績は記録されず、あるいは手柄を横取りされてしまってもいる。その中のひとりが、大津皇子だ。

 父・天武天皇崩御(天皇の死)の直後、大津皇子は謀反の濡れ衣を着せられ、殺された。叔母で天武の皇后だった持統(鵜野讃良=うののさらら)と藤原不比等の陰謀と考えられている。持統は息子・草壁皇子の即位を願ってライバルを消したのだろう。律令整備のために皇族だけで政治を動かす特殊な皇親体制をとっていたこの時代、皇位継承争いは熾烈を極めていた。即位すれば、強大な権力が転がり込んでくる。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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