北朝鮮「ミサイル連続発射」:米「二正面作戦」の狭間の生存戦略(下)

執筆者:平井久志 2022年2月14日
エリア: アジア 北米
1月20日、ニューヨークの国連本部で、北朝鮮によるミサイル発射を非難する共同声明を発表するリンダ・トーマスグリーンフィールド米国連大使(左から5人目)ら。左端は石兼公博国連大使 (C)時事
北朝鮮のミサイル連続発射の裏には、敵視政策を解除しない米国への苛立ちが見てとれる。だが対中・対露で手一杯の米国を横目に、北朝鮮は自分の利益を追求する。その先にあるのは“2017年危機”の再来だが、米国にそれに対応する余裕があるのか。

 国連安全保障理事会は、北朝鮮が1月5日にミサイルを発射したことを受けて同10日に非公開緊急会合を開いたが、中国とロシアは北朝鮮擁護の姿勢を崩さず、一致した声明は発表できなかった。米国や英国、フランスなど欧米5カ国と日本は、緊急会合の前に北朝鮮を批判する声明を発表した。

安保理15カ国中7カ国が米国に同調せず

 北朝鮮のミサイル発射が続いたため、国連安全保障理事会は1月20日に2度目の緊急会合を開いたが、米国は制裁の強化を主張、中国とロシアは緩和を訴えて真っ向から対立し、また一致した対応を示せなかった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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