プーチンの主張する「NATO不拡大約束」は、なぜ無かったと言えるのか

1989年12月、マルタ島でブッシュ米大統領(左)と会談して冷戦を終結させたゴルバチョフソ連共産党書記長(中央)。だがその2か月後、ベーカー米国務長官(右)との会談で「NATO不拡大」の約束はあったのか―― (C)AFP=時事
ウクライナ危機の最大の争点の1つ、「NATO不拡大」。ロシアは西側が冷戦終結時におこなったNATO不拡大の約束が「破られてきた」と主張するが、根拠とされるベーカー・ゴルバチョフ会談はあくまでもドイツ統一の文脈であり議論の対象は旧東ドイツ地域だった。さらにロシアは90年代以降、NATO拡大を容認する「手打ち」を行ってきた。

 ロシアとウクライナ、そして米欧との大きな争点の1つはNATO(北大西洋条約機構)の拡大問題である。ロシアはウクライナのNATO加盟、つまりNATOのさらなる拡大に反対であり、NATOはこれ以上拡大しないとの拘束力のある約束を求めている。この背景には、「冷戦終結時に西側はNATO不拡大を約束したものの、その約束は破られてきた」というロシアの主張が存在する。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
鶴岡路人 慶應義塾大学総合政策学部准教授。1975年東京生まれ。専門は現代欧州政治、国際安全保障など。慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院法学研究科、米ジョージタウン大学を経て、英ロンドン大学キングス・カレッジで博士号取得(PhD in War Studies)。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)、米ジャーマン・マーシャル基金(GMF)研究員、防衛省防衛研究所主任研究官、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛・安全保障研究所(RUSI)訪問研究員などを歴任。東京財団政策研究所主任研究員を兼務。著書に『EU離脱――イギリスとヨーロッパの地殻変動』(ちくま新書、2020年)など。
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