ロシアのウクライナ侵攻に関するトルコの外交

執筆者:今井宏平 2022年3月14日
トルコのエルドアン大統領は米露に対する戦略的ヘッジングを続けるのか(C)AFP=時事
ロシアとウクライナの仲介役として存在感を増しているのが、両国と黒海を挟んで接しているトルコだ。ロシアとNATO諸国との間で中立を保つのか、冷戦期のようにNATO依存、とりわけ米国依存を強めるのか、トルコは難しい選択肢を迫られると筆者は言う。

 

 ウクライナ情勢が風雲急を告げる中、ロシアとウクライナに対するトルコの対応も注目されるようになった。トルコにとって両国は黒海を挟んだ隣国であり、どちらの国とも利害関係が強い。また、2014年のロシアによるクリミア併合の際にクローズアップされたように、クリミア半島から移住したタタール人がトルコには一定数存在する。

 ここでは、トルコがロシアのウクライナ侵攻にどのように対応しているのかに関して、(1)近年のトルコ外交の変化、

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
今井宏平(いまいこうへい) ジェトロ・アジア経済研究所研究員。中東工科大学Ph.D. (International Relations)、中央大学博士(政治学)。専門は現代トルコ外交・国際関係論。2004年に中央大学法学部卒業後、同大大学院を経てトルコのビルケント大学に留学。中東工科大学国際関係学部博士課程修了後、中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士前期課程修了。2016年より現職。著書に『中東秩序をめぐる現代トルコ外交――平和と安定の模索――』(ミネルヴァ書房、2015年)、『トルコ現代史――オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで――』(中央公論新社、2017年)、『国際政治理論の射程と限界』(中央大学出版部、2017年)がある。
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