カルテルでも顧客情報漏洩でも「値上げ」 電力大手「不祥事」の行方

IN-DEPTH【ニュースの深層】

執筆者:町田徹 2023年1月30日
エリア: アジア
顧客情報漏洩問題で経産省への報告内容について記者会見した関西電力の松村幹雄副社長(中央)ら[1月13日](C)時事
自ら仕掛けた安売り攻勢が不採算と分かりカルテル行為、「大手電力グループ解体」の必要性を改めて示した顧客情報漏洩問題……引も切らない不祥事の傍から電力料金の値上げ申請が行われる。電事連次期会長人事も迷走中だ。

「A先生のリークも役に立たなかったか――」

 1月23日。東京電力ホールディングス(HD)が大手電力会社として6社目となる電気料金(規制料金=家庭の過半が契約)引き上げを申請したことについて、ある永田町ウオッチャーが嘆いてみせた。

   関西電力など4社のカルテル行為で業界団体「電気事業者連合会(電事連)」のトップ人事が迷走し(詳細は後述)、団体存続の正当性すら疑問視される最中である。電力大手には罪悪感のカケラもないのか、岸田内閣は公益事業者の自己都合の値上げを容認するのかと、この人物は呆れ顔だ。

“A先生のリーク”とは、カルテル行為に対する公正取引委員会の処分情報を指すようだ。「さぞ悔しがっているのではないか」と言うのである。

   閣僚A氏と電力大手の暗闘が囁かれ始めたのは昨年秋。

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カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
町田徹(まちだてつ) 1960年大阪生まれ。経済ジャーナリスト、ノンフィクション作家。神戸商科大学(現・兵庫県立大学)卒業後、日本経済新聞社に入社。米ペンシルべニア大学ウォートンスクールに社費留学。雑誌編集者を経て独立。「日興コーディアル証券『封印されたスキャンダル』」(『月刊現代』2006年2月号)で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」大賞を受賞。著書に『電力と震災 東北「復興」電力物語』『行人坂の魔物 みずほ銀行とハゲタカ・ファンドに取り憑いた「呪縛」』などがある。2014年~2020年、株式会社ゆうちょ銀行社外取締役。2019年~、吉本興業株式会社経営アドバイザリー委員。
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