北大西洋の海底堆積物から発見されたミクロンサイズのなマグネタイト化石(左、X線顕微鏡で撮影)。化石内部では、中心軸に沿って磁気モーメントが渦巻くように配置されており、竜巻状になっている(中央)。右は磁気構造を示した模式図 (C)Harrison et al/University of Cambridge/Handout via REUTERS
「我々は、この大きな磁化が、場所によって異なる地球磁場の強さの変化を検知するのに適した性質であることを示した。『自然のGPS』が機能するために重要な要素であり、そのおかげで生物は方角が分かるだけでなく、自身の位置も把握できる」とケンブリッジ大学の地球・惑星材料科学の教授で研究チームを率いたリッチ・ハリソン氏は述べた。研究は学術誌『Communications Earth & Environment』に掲載された。
GPSは、衛星からの情報をもとに位置情報を提供する技術である。
渡り鳥、魚、昆虫など、季節的に移動する動物は地球の磁場を頼りに、渡りで向かう方角を見つけていると考えられている。だが、その仕組みはまだ解明されていない。一つの仮説として、体中にマグネタイト粒子があり、それが羅針盤のように磁場に合わせて向きを変えるという考え方がある。
今回の化石がどの生物に由来するのかを特定するのは難しい。他の体の部位が見つかっていないからだ。渡りをし、多数の化石が残るほど広く繁栄した動物に由来したと考えるのが妥当だと研究チームは言う。ハリソン氏によれば、候補のひとつはウナギである。
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