EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)は昨年5月、ギリシャに対して総額1100億ユーロ(約13兆円)の財政支援を行なった。しかし、これでユーロ圏の「周辺(ペリフェリー)」と呼ばれる南欧の国々の過剰債務問題が片付くと思っていた市場関係者は誰もいなかった。北部欧州では有権者が厳しい目線で「周辺」の財政規律の喪失を監視している以上、その政府とて「周辺」に対して決して甘い顔は見せられない状況が持続する中で、次のステージが浮上することにならざるをえない。 公務員に対する年金支給年齢が50歳台というのは労働規律を歪めており、ギリシャ政府は公務員労組に対して妥協しすぎだ、と北部欧州では批判が渦巻く。ムーンライトエコノミーとも呼ばれる裏経済はドイツでも無視できないが、こうしたヤミ経済に対しても徴税強化の努力は続いている。これに対して「周辺」では税収増への取り組みが甘すぎる、という見方が支配的だ。また、政府のバランス・シートの圧縮とともに、民営化方針を貫くことにより、合理化を通じた政府部門の赤字の圧縮に乗り出すべき、という主張も支援枠組みとともに一応合意された。
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