インテリジェンス機構改革を放棄して、日本版NSCを発足させるのか

執筆者:春名幹男 2013年10月28日
エリア: 北米 アジア

 安倍戦略の重要な目玉の1つ、日本版NSC(国家安全保障会議)設置法案が提案された。

 アメリカのNSCを見習って作られるこの新組織。それならば、アメリカが繰り返してきた失敗からも学び、日本が抱える問題に対応できるよう、しっかりとしたインテリジェンス体制に裏打ちされた組織にしてほしかった。このままでは、日本版NSCは危機にも素早く対応できるのかどうか、疑問が残る。

 日本版NSCは既存の「安全保障会議設置法」の改正によって誕生する。

 新しく設置されるのは、総理と外相、防衛相、官房長官の「4大臣会合」と、「国家安全保障会議事務局」。また、総理大臣の諮問に応じて審議する事項として「国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針」が新たに加わる。既設の会合としては、9大臣会合があるが、4大臣会合はもっと頻繁に、少なくとも2週間に1回程度集まるという。事務局は局長をはじめ、自衛隊員約10人を含めた60人規模を予定している。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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