さる12月12日、東京地裁である詐欺事件の初公判が開かれた。被告は、元弁護士である本田洋司(80)ら3人。財務省などが所有する「国有地」を格安で購入できるという架空の話を捏造し、静岡県と福岡県の不動産業者らから合計約6億円を騙し取ったという事件である。余罪を含めると、被害総額は50億円を超えると見られている。
最初の逮捕が10月3日(後に余罪で再々逮捕)だったこの事件は当時、詐欺の重要な役割を果たした本田被告が日本弁護士連合会の常務理事という法曹界の重鎮でもあったことから、新聞・テレビでも大きく報じられた。その一連の報道は、日弁連常務理事という大物の存在があったが故に成立した詐欺という、特異な事件としての扱いが大半だった。

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