人間というのは言うまでもなく動物の一種である。そうであるならば、人間社会を縛ろうとしている結婚制度という法規制を考える前に、動物としてのヒトの繁殖と配偶システムはどういったものであったのかを考えるのは有益だろう。そもそもヒトという動物は一夫一妻制が自然な形なのだろうか? 多くの哺乳類の動物は、一夫多妻的な社会を形成している。シカのオスは角を突き合わせて他のオスと闘争する。こうした戦いに勝ったオスは何頭ものメスのハーレムを所有する。ゾウアザラシのオスは、平均すると体重がメスの約7倍もあり、オス同士が海のなかで牙をむき出し血みどろの戦いを演じる。勝ったゾウアザラシのオスは何十頭ものメスのハーレムを得ることになる。そして、そのハーレムを狙う他のオスに殺されるまで戦い続ける。昆虫のクワガタムシでさえ、樹のいい蜜が出る陣地を巡って他のオスと大きなハサミで戦う。こうしていい蜜を手に入れたオスがメスと交尾する。
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