中東―危機の震源を読む
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「8年前」を繰り返すごとき中東の次なる急展開は
[カイロ発]エジプトのアレクサンドリアと首都カイロを電車で往復しながらすごしている。昨年十二月に始めたアレクサンドリアでの在外研究も三月末で切り上げて日本に戻らなければならない。年末から一月は東地中海一帯に冷たい雨が続き、エルサレムの大雪やカイロの長雨といった異常気象が続いたが、二月半ばからは毎年恒例のハムシーンと呼ばれる砂嵐がやってきて、大気は乾燥し、暑くなってきた。 滞在中にたまった新聞を見直して、ここ数カ月の出来事を思い返しているうちに、時代が一回りしたという気分になった。一月十八日の完全封鎖で緊迫を高めていたパレスチナのガザ情勢は、二月二十九日にはイスラエル軍による大規模侵攻が開始され、多数の死者を出している。この状況は「一昔」前を思い起こさせる。

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