麻生太郎首相が自らの手による衆院解散を決断し、衆院選の投票日を八月三十日に設定したことによって、政局は新たな段階に入った。すべての国会議員の関心は衆院選に向かい、寿命が決まった内閣はレイムダック化すると同時に、国会も空洞化するのは確実だ。今後は、永田町(国会議事堂や自民、民主党本部などの所在地)から国会議員は姿を消し始める。地元に帰って、選挙運動に専念するためである。 早期解散には、かねて自民党内に強い異論があったことはよく知られている。七月十三日の麻生首相の「解散宣言」には、そうした反麻生勢力による「麻生降ろし」の動きを封じ込める狙いがあった。

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