一九七六年三月十二日午後、法務省刑事局参事官(後に東京地検特捜部検事)堀田力は安原美穂法務省刑事局長とともに、官邸に三木武夫首相を訪ねた。 その一月ちょっと前、米上院外交委員会の多国籍企業小委員会(チャーチ委員長)の公聴会に喚問されたロッキード社のA. C. コーチャン社長が、同社の日本への民間機、トライスター機売り込みに際し、日本側に多額の賄賂を贈ったと証言した。それに関連して、日本政府高官にもカネが渡ったのではないかとの疑惑が、浮上した。 日本国内は騒然となった。国会、マスコミは政府に対して真相究明を要求した。三木首相は、ジェリー・フォード米大統領あてに、公開を前提に資料の提供を要請する親書を送った。
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