盾 林岳司『内側から見た湾岸危機』

執筆者:船橋洋一 2001年3月号
タグ: 日本 イラン

 一九九〇年八月二日。 早朝、木本正二は東京の娘からの電話でたたき起こされた。「パパ、大変だよ」「今、会社のテレックスにクウェートの国際空港が爆撃されて閉鎖になっていると入っているけど、そちらは大丈夫なの」 窓から外を覗いたが、フラットの前の湾岸道路は、いつもと変わらない自動車の往来が続いている。 しかし、勤務先の通信省に行くと、鍵がかかっていて入れない。仕方なく引き返すと、また電話が鳴り響いている。娘からだ。「どこに行ってたの。イラク軍がクウェートに攻め込んでいるってニュースが言っているけど、何ともないの」

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
船橋洋一 アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長。1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。米ハーバード大学ニーメンフェロー(1975-76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶應義塾大学法学博士号取得(1992年)、米コロンビア大学ドナルド・キーン・フェロー(2003年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005-06年)。2013年まで国際危機グループ(ICG)執行理事を務め、現在は、英国際問題戦略研究所(IISS)Advisory Council、三極委員会(Trilateral Commission)のメンバーである。2011年9月に日本再建イニシアティブを設立し、2016年、世界の最も優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞。近著に『フクシマ戦記 10年後の「カウントダウン・メルトダウン」』(文藝春秋)、『自由主義の危機: 国際秩序と日本』(共著/東洋経済新報社)、『地経学とは何か』(文春新書)、『カウントダウン・メルトダウン』(第44回大宅賞受賞作/文春文庫)など著書多数。
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