饗宴外交の舞台裏 (55)

アフリカへの注目を高めたワールドカップ

執筆者:西川恵 2002年8月号
エリア: アフリカ

 サッカー・ワールドカップ(W杯)は、日韓両国の相互理解の促進やアジアの活躍など、さまざまな政治的シグナルとメッセージを投げたが、私はアフリカに世界の目を向けさせた点を記しておきたい。 もっともW杯だけだったら、こうはならなかっただろうと思う。奇しくもW杯と並行して開かれたカナダ・カナナスキスの主要国首脳会議(サミット)は、アフリカ支援を中心議題に据えていた。W杯は国際政治と共鳴し合って、アフリカへの関心を過去見られなかったほど高めたのである。 W杯グループリーグにはアフリカから五カ国が参加したが、功労者は何といってもセネガルとカメルーンだ。セネガルは韓国で、カメルーンは日本でと、それぞれの開催国で話題をさらった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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