中東―危機の震源を読む
(88)
ギリシア――ヨーロッパの内なる中東
ギリシア問題は6月30日のIMF(国際通貨基金)への債務履行期限を超えて宙づりになっている。一気にユーロ圏離脱やドラクマ復活へと進むのか、それとも一時しのぎの更なる支援策で合意するのか、それとも事態の根本的な解決を図る動きがついに出てくるのか。この文章が掲載される頃には見通しが立っているかもしれない。
もちろん中東を専門とする筆者にとってギリシア関連はまったくの素人である。しかし、ギリシアが抱える問題には、地中海を囲む隣国であるアラブ諸国にのし掛かる問題と、同根の部分があるのではないのか。ギリシア問題は、歴史的に遡ってみれば、「中東問題」の一部とも言えるのではないのか。そんなことを、6月30日深夜に債務不履行の「カウントダウン」を報じるBBCの現場中継を、アラブ首長国連邦アブダビで眺めながら、考えていた。
「中東―危機の震源を読む」欄への久しぶりの寄稿に際して、筆者の「リハビリ」も兼ねて、歴史的視野からの中東論を、ギリシア問題を引き合いに、類推や飛躍も大いに交えて、論じてみることを許していただきたい。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン