原油高のおかげで力を回復したロシアが“領土奪還”を窺っている。グルジア内の二地域ばかりか、ベラルーシから、さらに――。 八月にロシア軍によって占領されたグルジア中部の町ゴリを四年前に訪ねたことがある。首都トビリシから八十キロ。十二世紀にアルメニア人が作った人口五万の古い町で、オセチア系住民も多く、カフカス地方の人種の坩堝といった雰囲気だ。近隣の紛争地、南オセチア自治州から民兵が侵入し治安が悪いと、当時から住民が話していた。 ゴリは旧ソ連の独裁者スターリンの出身地。市内にはスターリンの小さな生家が保存され、立派なスターリン博物館やスターリン像があった。本名ヨシフ・ジュガシビリことスターリンは、この町では今も偉大な英雄である。

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