
成長力を失った大企業から成長産業へ、優秀な若年世代の働き手をシフトさせる必要がある
雇用調整助成金をご存知だろうか。業務縮小などで一部の従業員を休ませた場合、その従業員の給料分を国が負担する助成金だ。新型コロナウイルスの蔓延で経済活動にブレーキがかかる中、失業を生まない「切り札」として厚生労働省が活用している。2021年4月分までは特例として、支給額の上限が1人1日=1万5000円に引き上げられてきた。要は、余った人員もクビにせず、企業に抱え続けてもらう、という仕組みである。
企業が不況に直面した際に、雇用調整助成金を出して企業を支えれば、しばらくして業績が回復した時に従業員は失業せずに済む。再び元の職場で給与をもらって働けるというわけだ。働き手からすれば、失業して仕事を探す事態に直面しなくて済むわけで、非常に良くできた制度のようにも思える。だが、米国など欧米の失業対策とは根本から考え方が違うのである。それが今回の新型コロナ対応で鮮明になった。

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