「ゾンビ企業」が人材を囲う「雇用調整助成金」の副作用

執筆者:磯山友幸 2021年6月4日
エリア: アジア 北米
成長力を失った大企業から成長産業へ、優秀な若年世代の働き手をシフトさせる必要がある
支援策頼みで存続する「ゾンビ企業」が希少な人材を囲い込めば、日本経済の成長の芽が摘まれてしまう。支援で守るべきは企業から人へ――成長産業への労働移動を後押ししてこそ、「ポスト・コロナ」の経済が望めるはずだ。

 雇用調整助成金をご存知だろうか。業務縮小などで一部の従業員を休ませた場合、その従業員の給料分を国が負担する助成金だ。新型コロナウイルスの蔓延で経済活動にブレーキがかかる中、失業を生まない「切り札」として厚生労働省が活用している。2021年4月分までは特例として、支給額の上限が1人1日=1万5000円に引き上げられてきた。要は、余った人員もクビにせず、企業に抱え続けてもらう、という仕組みである。

 企業が不況に直面した際に、雇用調整助成金を出して企業を支えれば、しばらくして業績が回復した時に従業員は失業せずに済む。再び元の職場で給与をもらって働けるというわけだ。働き手からすれば、失業して仕事を探す事態に直面しなくて済むわけで、非常に良くできた制度のようにも思える。だが、米国など欧米の失業対策とは根本から考え方が違うのである。それが今回の新型コロナ対応で鮮明になった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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