「ドルの基軸通貨」に代わる新体制が構想中? コロナが誘発したIMF、大転換の布石

執筆者:吉國眞一 2021年12月9日
イエレン財務長官はSDRに対する米政権の姿勢を転換させた ⓒAFP=時事
ケインズがブレトンウッズ会議で提唱した世界通貨構想が、いま再び脚光を集めている。キーワードはIMF加盟国が持つ「特別引き出し権=SDR」のデジタル化だ。これが各国中央銀行が発行するデジタル通貨の「ハブ通貨」として機能すれば、ドルに代わる理想の国際通貨誕生への道が見えてくる。

 世界的パンデミックとカーボンニュートラルが、ヒトとモノ、そしてカネの動きを大きく変えた2021年、基軸通貨ドルを巡って歴史的な大転換が構想されようとしていることをご存知だろうか。

 それはビットコインに代表される暗号通貨や、Facebook社(現Meta)が構想し、主要国の懸念から取り下げられた「リブラ」も(現「ディエム」)、大きな起爆剤となって進行している。

 その一手は、今年8月、国際通貨基金(IMF)によって打たれた。主要通貨のバスケットである準備資産の特別引き出し権(SDR)を、米ドル換算で約6500億ドル新規配分したのだ。

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
吉國眞一(よしくにしんいち) 1973年一橋大学卒業後、日本銀行入行。国際通貨基金(IMF)へ出向。国際局次長、ロンドン駐在参事等を歴任。2001年国際決済銀行(BIS)入行、アジア太平洋総代表等歴任。06年帰国後みずほ証券顧問、金融広報中央委員会会長を経て、21年カーボンニュートラル推進協議会理事。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top