自衛隊最高幹部が語るウクライナ戦争(第4部)――“戦後”の日米同盟と国際社会

ベルギー・ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部 ©時事
自衛隊の装備をすべてNATO標準に
岩田清文(元陸上幕僚長):最後の第4部では、今後の日米同盟と多国間協力のあり方を検討したいと思います。まず兼原さんから、日米同盟強化の重要性とそこにまつわる課題について、ご意見をお願いします。
兼原信克(元国家安全保障局次長):はい。実はアメリカも冷戦が終わってから、実際に核兵器を含めた大規模な戦争をやるということはあまり考えてきていない。ソ連がいなくなって、中東で対テロ戦争ばかりやってきた。台湾をめぐって中国と本当に戦争するとどうなるかということは、まだ考え抜いていないと思います。特に、強大化する中国の通常兵力を前に、核を使って中国を抑止するなんて全く考えていない。日本はアメリカにとって太平洋で最大の“出城”です。仮に台湾をめぐって米中戦争になるとしたら、初めて日米の同盟調整メカニズムをフルに使う戦争をしなくちゃいけない。

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