大田昌秀:「学者知事」の原点となった沖縄戦

執筆者:野添文彬 2022年7月24日
タグ: 日本
エリア: アジア
米兵による少女暴行事件についてコメントを読み上げる大田昌秀沖縄県知事(那覇市・沖縄県庁)(C)時事
1990~98年まで第4代沖縄県知事を務めた大田昌秀にとって原点ともいえる経験となったのが、少年兵として戦った沖縄戦である。ある兵長の言葉が、後に学者の道を歩むことになる大田に大きな影響を与えた。

 

戦後50年目の異議申し立て

 1995年10月21日、沖縄県宜野湾市の海浜公園には主催者発表で8万5000人が集まった。そこには、これまでの集会と異なり、乳母車の赤ちゃんをあやす若い母親、制服姿の高校生、この日のために臨時休業した零細企業の社長など、立場や党派を超えて幅広い人々が参加した。会場には、激しい怒りとともに「今が最大のチャンス」「今度という今度は…」という思いが満ちていた¹

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
野添文彬(のぞえふみあき) 沖縄国際大学法学部 地域行政学科准教授。1984年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、同大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は国際政治学、日本外交史、沖縄基地問題。主な著書に『沖縄返還後の日米安保: 米軍基地をめぐる相克』(吉川弘文館/2016年)、『沖縄米軍基地全史』(吉川弘文館/2020年)がある。
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