政治的なるものとは~思索のための1冊 (4)

寒い冬の日でも夕陽はやはり輝く――岡義武『近代日本の政治家』(岩波文庫)

執筆者:橋本五郎 2022年7月25日
タグ: 日本
エリア: アジア
左から、伊藤博文、大隈重信、原敬
伊藤博文、大隈重信、原敬――文字通り命懸けで日本の近代化に取り組んだ政治家たちを、その私人としての横顔も含めて描いた政治家評論の傑作。

 

 私にとって政治家評論の傑作と思っている書が2冊ある。元東大教授の岡義武『近代日本の政治家』(岩波文庫)と元NHK会長阿部眞之助の『戦後政治家論』(文春学藝ライブラリー)である。前者は伊藤博文、大隈重信、原敬、犬養毅、西園寺公望の5人の政治家の魅力と限界を時代的背景も踏まえながら描き切っている。後者は、吉田茂をはじめ15人の戦後政治家の本質を容赦なきまであぶり出している。文庫本の解説で私は「阿部検察官の容赦なき論告求刑」との見出しをつけたぐらいだ。読み出したらやめられない、花も実もある人物論なのである。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
橋本五郎(はしもとごろう) 『読売新聞』特別編集委員。1946年秋田県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、読売新聞社に入社。論説委員、政治部長、編集局次長を歴任。2006年より現職。『読売新聞』紙上で「五郎ワールド」を連載するほか、20年以上にわたって書評委員を務める。日本テレビ『スッキリ』、読売テレビ『ウェークアップ!ぷらす』、『情報ライブミヤネ屋』ではレギュラーコメンテーターとして活躍中。2014年度日本記者クラブ賞を受賞。著書に『範は歴史にあり』(藤原書店)『「二回半」読む――書評の仕事1995-2011』(以上、藤原書店)『不滅の遠藤実』(共編、藤原書店)『総理の器量』『総理の覚悟』(以上、中公新書ラクレ)『一も人、二も人、三も人――心に響く51の言葉』(中央公論新社)『官房長官と幹事長――政権を支えた仕事師たちの才覚』(青春出版社)など多数。
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