ポイント・アルファ
ポイント・アルファ (15)

カウントダウン「量子コンピューティング3.0」――応用先の「最有力候補」と「内なる脅威」|武田俊太郎・東京大学大学院工学系研究科准教授(3)

執筆者:関瑶子 2024年11月20日
エリア: アジア
量子コンピュータはその性質上、半導体材料や医薬品などの材料設計のシミュレーションに適している。現代のコンピュータと得意分野が異なるため、将来的には役割分担が生まれるだろう。一方、たとえば量子コンピュータの計算技術は、現在の暗号化技術を簡単に解読してしまうような危うさも孕む。こうした「内なる脅威」にはどう向き合うべきか。(聞き手:関瑶子)

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 長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、量子コンピュータの応用について、東京大学大学院工学系研究科准教授の武田俊太郎氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。

現代のコンピュータとは全くの別物

──現代のコンピュータと量子コンピュータには、どのような違いがあるのでしょうか。

「現代のコンピュータと量子コンピュータでは、計算の原理そのものが異なります。同じコンピュータではありますが、全くの別物であるという認識のほうが正しいでしょう」

「現代のコンピュータの代表例として、スマートフォンやデスクトップパソコンやノートパソコン、そして研究所などにあるスーパーコンピュータなどが挙げられます。これらはスペックこそ異なりますが、同じ原理で計算を行っています」

「一方、量子コンピュータは現代のコンピュータの延長線上にはありません」

「量子コンピュータは『量子』というミクロな粒子の物理法則を使った新しい計算原理で動くコンピュータです。ですので、同じ問題を出したとしても、量子コンピュータと現代のコンピュータでは解き方が全く異なります」

「そのため、特定の問題に対して、現代のコンピュータよりも圧倒的な速さで解くことができるのではないかと期待されています」

カテゴリ: テック
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執筆者プロフィール
関瑶子(せきようこ) ライター・ビデオクリエイター 早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。You Tubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。
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