堕ちゆく世界の迷走
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「政治不在」が招く米欧中の経済失速
辞任を巡ってこれほど粘り腰を見せた首相も近年珍しい。外国人献金問題の追及が始まった矢先の東日本大震災を奇貨とした延命。不信任決議をかわすための、死んだふり留任。震災復興を盾に取った国会の会期延長。果ては脱原発をシングルイシューとした衆院解散説まで飛び出す。
原発事故収束に向けた対応と復興のための政策づくりは、いきおい後回しとなる。菅政権の下で日本政治の時計の針は止まっている。それでも経済は動くとばかりに、政府・日銀は景気の見通しを心持ち上方に修正させた。だが皮肉なことに、日本を引っ張ってきたはずの世界経済に、様々な変調のシグナルが点滅している。崖っぷちの細道を手放しで運転するような状況が続いている。
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