「歴史的転換点」におけるアメリカの選択

執筆者:中山俊宏 2012年1月4日
エリア: 北米
アメリカ国民が選んだのは「統治原理」だったのか「人物」だったのか(c)AFP=時事

 2009年3月、オバマ大統領の歴史的勝利から4カ月後にアメリカ進歩センター(Center for American Progress)は「アメリカにおける政治的イデオロギー状況の現在 2009年: 政治的価値と信念に関する研究」 (Halpin & Agne, State of American Political Ideology, 2009: A National Study of Political Values and Beliefs)と題した研究報告書を公表している。アメリカ進歩センターは、保守系のアドボカシータンクとして名高いヘリテージ財団(Heritage Foundation)に倣って2003年に設立された穏健リベラル派系のシンクタンクである。「政治的イデオロギー状況の現在」報告書は、アメリカのイデオロギー的地平に関し、1980年代のレーガン時代以降、およそ30年にわたって続いてきた「保守の時代」が終焉を迎え、新たにリベラル派の時代に移行しつつあると結論づけている。いわばオバマ政権の誕生は、そのような現象の表象に過ぎず、オバマの勝利以上に重要な構造的な変化が底流で起きているというのが同報告書の結論だった。

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執筆者プロフィール
中山俊宏(なかやまとしひろ) 1967年生れ。慶應義塾大学総合政策学部教授、日本国際問題研究所上席客員研究員。専門はアメリカ政治・外交、国際政治。日本政府国連代表部専門調査員、津田塾大学国際関係学科准教授、青山学院大学国際政治学科教授を経て、2014年より現職。著書に『アメリカン・イデオロギー――保守主義運動と政治的分断』(勁草書房、2013年)、『介入するアメリカ――理念国家の世界観』(勁草書房、2013年)、共著に『アメリカ現代政治の構図』(東京大学出版会)、『アメリカのグローバル戦略とイスラーム世界』(明石書店)などがある。
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