国際論壇レビュー
「ルビコン川を渡った」米オバマ政権の「オリンピック・ゲームズ」
「ルビコン川を渡ってしまった」。ホワイトハウスの危機管理室(シチュエーション・ルーム)の会議テーブルに、こなごなになった遠心分離器の破片が置かれた時を思い出しながら、ヘイデン元CIA長官は、そう語った。コンピューターウイルスを使って、遠心分離器の音速に近い回転スピードを操作し、破壊するのに、はじめて成功した。G・W・ブッシュ政権の末期のことだ。分離器は2003年に、核兵器開発を断念したリビアの指導者カダフィ大佐(当時)が、米政府に引き渡したものだった。核技術の闇市場をつくったパキスタンのカーン博士から買ったP1と呼ばれる型の分離器だ。イランも同じものを使ってウラン濃縮を行なっていた。

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