初めての共同声明が出されたものの、内実は北朝鮮の勝手な解釈を許す曖昧なもの。日本にとって最悪の展開すら考えられる。 九月十九日、北朝鮮の核問題をめぐる第四回六カ国協議が終わり、共同声明が発表された。協議が二〇〇三年八月に始まって以来、初めて出された共同声明である。この中で北朝鮮は、「すべての核兵器と核計画の放棄」を約束した。それに対し各国は、軽水炉型原発の提供を適当な時期に議論すること、北朝鮮と米国が関係正常化を徐々に実現すること、米国は核と通常兵器による攻撃をしないことを確認した。 だが、北朝鮮核問題の解決が軌道に乗ったかにみえた翌日、「まずは核の放棄から」という米国に対し、北朝鮮は「軽水炉供給が先だ」と主張。早くも両者の言い分に食い違いがでている。今後、「北が核を放棄したと判断する基準」をめぐっても紛糾が予想される。しかも、北朝鮮が一度は認めながら後に否定に転じた「高濃縮ウラン型核兵器」開発の有無も不明のままである。
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